内輪差ってどういうこと?起こる事故なども合わせて検証

車を運転していて狭い道などをカーブをするときに、後輪を道路わきにある縁石などにぶつけた、あるいはぶつけそうになったという経験はあるでしょうか。ハンドルを操作してカーブしているときは大丈夫だったのに、車の後輪のほうに余裕がなくなって、道路わきにぶつけてしまう、ぶつけてしまいそうになることはあるでしょうか。そんなときには、内輪差について今一度頭にいれておく必要があるかもしれません。

一般的な普通四輪車は、前方に2つのタイヤ、後方に2つのタイヤをもつ構造となっています。ハンドルを操作すると一般的な自動車の場合では、前輪がハンドルの操作の影響を受けます。前方にまっすぐ進んだり、後方にまっすぐバックしたりする場合には、前輪と後輪は同じ軌道を描くように動きます。しかし、カーブをする場合には前輪と後輪は、違った軌道を描くように進みます。具体的な状況を設定してみていきましょう。

内輪差について

例として、前方右折する場合を考えてみましょう。右にハンドルを操作する時点で、前輪は右方向へ向かおうとしています。しかしこのとき、後輪はハンドルの影響を受けていませんので、まだまっすぐ進もうとします。車体が右方向へ進行し始めたときにようやく、後輪はゆっくりと右方向へと向かいます。

このとき、後輪が右へ進もうとする動きは、前輪の動きに比べてゆっくりであることに注意が必要です。前輪はハンドルの影響を受けるために、急な変化をつけた動きが可能ですが、後輪はハンドルの影響を直接受けていないため、カーブへ向かうときの変化がゆっくりとなります。

ではこのとき、前輪と後輪の軌道にどのような違いが生まれるのでしょうか。

いま、前輪が右に曲がろうとする動きに比べて、後輪が右に曲がろうとする動きはゆっくりです。車体で前輪と後輪はつながっているため、後輪は、前輪に追い付く必要があります。このとき後輪は、前輪に追いつこうとするために近道をしようとします。つまりカーブをしたとき、前輪が描く軌道よりも、後輪はより近道である内側へ向かおうとします。いま、右折の場合を考えていましたが、左折する場合も同様です。

このように、車がカーブをしたときには、前輪の軌道と後輪の軌道が異なります。この差を内輪差といいます。普通四輪車の場合、およそ1メートルの内輪差がでてきます。また、前輪と後輪の距離が大きくなればなるほど、内輪差も大きくなります。普通四輪車の場合も十分注意が必要ですが、トラックなど大型車の場合には内輪差も大きくなるため、より注意が必要です。

内輪差はどのような事故を引き起こす可能性があるのでしょうか。

内輪差が起こす事故

直角に曲がる必要のある交差点を考えてみましょう。前輪はしっかりとカーブの軌道に入ることができている状況で、しかしその内側には縁石などがあるとします。前輪の軌道よりも内側を後輪が走るため、しっかり前輪はカーブしきれていたとしても、後輪が内側にある縁石にぶつかってしまうことが考えられます。そのほかにも、後輪側をガードレールに接触させる事故や、後輪を歩道に乗り上げてしまう事故なども考えられます。

ここまで運転する側の視点で内輪差による事故について見てきましたが、もちろんのことながら、自動車のまわりにいる歩行者、自転車、自動二輪車に乗っている人にも注意が必要です。車はカーブをする際、後輪側が内側によってくるため、自動車の後輪が歩道側、路側帯側へせまるような格好になります。このとき注意しなければいけないのが巻き込み事故です。せまい路地を車がカーブしている場合や、カーブしようとしている車に並列しているときには特に注意しなければなりません。

内輪差による事故を回避するためにはどうすればよいのでしょうか。

内輪差が起こす事故からの回避

ポイントは、後輪の軌道をしっかり意識することです。ハンドルで動かせる前輪ばかりに注意するのではなく、後方にもしっかり注意を向けましょう。具体的には、カーブをする際には、徐行をして注意や判断する時間に余裕をもたせる、方向指示器をしっかり出して周囲に知らせる、ハンドルを操作するタイミングを早くしすぎない、サイドミラー等で後方後輪の軌道の確認をするなどです。